myriam0125のブログ

考古学の教授に日記を付けることを薦められ、備忘録としてブログを始めてみました。

亡き王女のためのパヴァーヌ

2019.03.11

モーリス・ラヴェル

亡き王女のためのパヴァーヌ ト長調

Ravel, Maurice: Pavane pour une infante défunte

今日フルートで吹けるようになった。

練習始めて3日目ぐらい。

様々なアレンジもされているラヴェルの代表作のひとつですが、フランスのメゾンフレグランスブランド、フランシス・クルジャンのHPのBGMに使用されているアレンジは、とても美しいです。

パリの早朝か夕暮れ時の静かな街並みと相まって情緒的です。(今はサイトがリニューアルされてしまったよう)

しかしこの曲、追悼の物悲しい場面ではなく、宮廷での舞踏をイメージして作曲されたらしいので(パヴァーヌは16c〜17cに流行した舞踊のことだそう)、感傷に浸る雰囲気よりも、人々が舞踊するシーンを流れるように表現する方が、曲本来のイメージには合っているようです。原題の「infante défunte」はアンフォンテデファンテと韻を踏んでおり、亡くなったアンフォンテ(スペイン王女の称号)の意です。スペイン宮廷画家ベラスケスが描いたマルガリータ王女が着想を得る元になったことは、比較的有名な話かと思います。ラヴェルルーヴル美術館を訪れた際に、この絵画を鑑賞してインスピレーションが湧いたとか。

 

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マルガリータ王女可愛いですね。ちゃんと椅子に座っておとなしくしていた姿を想像して微笑ましくなります。右手はテーブルに置いてみましょう(Pon tu mano derecha sobre la mesa)、と言われたのでしょうか。スペイン語は詳しくないので誤りがあるかもしれません。こんな可憐な王女ですが、妃となってからは度重なる流産はユダヤ人のせいだと主張し、国王に国内からユダヤ人を追放させたという逸話が残っています。このオカルトめいた発想は現代人には理解しがたいものがあります。

 

話は音楽に戻り、、でもやはり旋律からはどこか感傷的な印象を受けるのです。マルガリータ王女が生育した時代はスペイン黄金期、彼女も幼いうちから計画されていた通りに政略結婚を義務付けられ、何度も流産し、21歳で亡くなった女性です。スペイン継承戦争が始まる少し前、華やかな宮廷で時代に翻弄された彼女の儚い人生を、ラヴェルは音で表現したのでしょうか。

 

フルートはフランスで誕生した楽器ですが、フランス人は繊細な美しさを好む印象があります。